「佐々木さんは、あの二人のこと、ずいぶんと気にしてるよね」
「うん、まあ‥‥‥」
私はあいまいに頷いた。
しばらくして、谷口くんが言った。
「ごめんね」
「えっ?」
思わず谷口くんを見る。
「俺が『見守ろう』なんて言ったから、佐々木さんには窮屈な思いさせちゃったかな」
私は少し間を置いて、それから首を振った。
違う。そうじゃない。
私も、友だちの恋愛に多少口を出したり、協力したりすることが悪いとは思わない。
だけど、私の場合は、いつの間にかやりすぎてしまう。
だから、中途半端に関わるくらいなら、何もしないほうがいい、そう思った。
それは私の中学時代に関わることで、少し迷ったけど--。
谷口くんになら、話してもいいかな。
ちょうど学校を通り過ぎたところで、私は口を開いた。
「私ね、昔から少女漫画とか恋愛ものが好きで、身近な人のそういう話も好き。
『この子とこの子がくっ付いたらいいな』って、よく考えてた」
「そっか」
谷口くんが相槌を打った。
「中学の時、わりと仲の良かった子がいたの。
その子が好きな人とうまくいってほしくて、私余計なことしちゃって……。
二人の仲をこじらせちゃった」
信号のない交差点を渡り、広い歩道に入る。
私は自分の足元を見つめる。
今でも覚えている。
『佳奈ってお節介だね』と言っていた彼女の冷たい眼差し。
「だから、谷口くんに『二人のことは見守ろう』と言われたとき、その通りだなって思った」
谷口くんは、私の話を黙って聞いていた。
「でも、やっぱり本音を言うと、栞と汐留くんのことすごく気になっていて‥‥‥。
私、友達の恋愛を小説や漫画と同じように楽しんじゃってる。
栞がどう思ってるのか分からないのに。
私、最低‥‥‥」
つい感情的になってしまった私の言葉を遮るように、谷口くんは言った。
「佳奈ちゃんは、友達思いなんだね」
耳を疑った。
