図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜

◇

帰り道。


佳奈と谷口くんと別れると、また汐留くんと二人で歩き出した。帰る方向が同じだそう。


蝉の鳴き声が、ミンミンと住宅街に響いていた。


同じ制服の人をちらほら見かけるけれど、みんなこちらに気づいていない。


さっきとは打って変わって、汐留くんの表情は柔らかくなった、気がする。


‥‥‥相変わらず、汐留くんの表情は読みにくい。


「西本さん」


住宅街を抜けて、交差点を渡ったところで、汐留くんに声をかけられた。


私たちは、飲食店や診療所、スーパーなどが並ぶ通りを歩いている。


汐留くんが私を見て言った。


「この前、バスケの試合のあと、シュートの練習したいって言ってたけど」


「あ、うん‥‥‥」


バスケの試合に興奮して、勢いで口にしてしまったことだ。


改めて思い返すと、恥ずかしいことを言ってしまった‥‥‥。



「夏休み、一緒にやらない?」


「え‥‥‥」


私は言葉を失った。


あれって、社交辞令じゃなかったんだ‥‥‥。


一緒って、二人で‥‥‥?



私が返事に詰まっていると、汐留くんが少し身をかがめるようにして、私の顔を覗き込んだ。