図書室を出ると、汐留くんが廊下で待ってくれていた。
本当に待ってくれてる‥‥‥。
目が合うと、汐留くんは一つ頷き、それから並んで歩き出した。
汐留くんは何か考え事をしているようで、どこか上の空だった。
「汐留くんの得意科目って何かな?」
「ん‥‥‥数学かな。
‥‥‥西本さんは?」
「えっと、国語かな」
「そうか‥‥‥。俺は国語か一番苦手かも」
「私は、数学が一番苦手なんだ」
「‥‥‥そうか」
そう言って、汐留くんは黙ってしまった。
私もこれ以上話しかけていいのか分からず、そのまま黙って歩く。
汐留くん、もしかして、さっきのことで、課題のことが気になり始めたのかな。
廊下や昇降口で、何人かの女子たちが汐留くんに気づき、
「えっ、なんで一緒にいるの?」
と、声をかけてきた。
けれど、汐留くんは全く反応しない。
わざと無視しているのか、それとも考え事に夢中なのか。
私は一歩後ろに下がって、できるだけ目立たないように歩いた。
校門を出て少し歩いたところで、一歩先を歩いていた汐留くんが立ち止まった。
それから私を振り返って言った。
「西本さん、よかったら夏休み‥‥‥」
「お!朔、どうした?そんなところで」
汐留くんの背後から谷口くんが歩いてきた。隣には佳奈もいる。
汐留くんを見ると、なぜか小さくため息をついていた。
谷口くんと目が合う。
「あ、西本さん‥‥‥」
