当番が終わると、汐留くんと二人で司書室のドアをノックする。
「はい」
中から返事があったので、ドアを開ける。
「終わりました」
汐留くんが報告する。
草野先生は、部屋の隅の机でパソコンに向かっていた。
私たちが入ると顔を上げ、
「お疲れ様」
と、低くくぐもった声で言った。
いつもと同じだ。
草野先生は、基本的に、当番の時間帯は司書室にいる。
けれど、司書室はカウンターのすぐ裏にあるから、さっきの話を聞かれていたんじゃないかと思うと、ドキドキした。
幸い、草野先生は何も言わなかった。
帰り支度をしていると、汐留くんが私の近くに来た。
「途中まで一緒に帰らない?」
えっ。
驚いていて固まっていると、汐留くんが首を傾げる。
「何か予定あるの?」
私はかぶりを振る。
「ううん、大丈夫」
汐留くんは一つ頷き、
「外で待ってる」
と言って、先に図書室を出ていった。
汐留くんから帰ろうと誘われたのは、初めてだった。
そういえば、今日は考査の準備期間だから部活がないんだっけ。
誘われたことに驚いて、しばらくその場に立ち尽くしてしまった。
けれど、はっと我に返ると、慌てて鞄を手に取った。
