本の話をするうちに、自分の言葉が驚くほど滑らかになっていくのに気づく。
一通り紹介し終えると、武田さんは「うーん」と唸り、里村さんは腕を組んで押し黙る。
ど、どうかな。沈黙に緊張する。
ややあって--。
「これ、面白そう」
里村さんがテーブルの上に並べた本を手に取る。
あっ、選んでくれた。
「うん。文章もそんなに難しくないと思う」
「じゃあ、これ」
武田さんは二冊手に取り、しばらく見比べてから
「うーん、こっちかな!」
と、一冊選ぶ。
--良かった……。
二人は本をカウンターに持っていき、私は本のバーコードにリーダーを当てる。
ピッと音がした。
「ありがとう」
武田さんがほっとしたように笑う。
「もう、本当にどうしようかと思ってたんだ」
里村さんも、
「ありがとう‥‥‥西本さん。汐留くんも」
と言った。
その表情から安堵の色が見えたので、ひょっとしたら里村さんも困っていたのかもしれない。
「うん」
私は笑って頷いた。
◇
二人が帰った後、私は嵐が去ったあとのように、ほっと息をついた。
き、緊張した‥‥‥。
足がまだ少し震えている気がする。
ふと、カウンターに並んで座っている汐留くんと目が合う。
汐留くんが笑って言った。
「‥‥‥やっぱすごいな、西本さん」
「えっ、そ、そんな。ほめてもらうほどでは‥‥‥」
私は少し考え、はにかみながら言った。
草野先生が司書室にいるので、念のため声を落とす。
「汐留くんのおかげだよ」
「うん?」
汐留くんが首を傾げる。
「汐留くんがいたから、里村さんたちが相談に来たんだよ。
たぶん私一人だったら来なかったと思う。それに‥‥‥」
私は言葉を選んで言った。
