ああ、つい勢いで立ってしまったよ。
立った以上、座り直すわけにもいかない。
隣で立っている汐留くんは、目を見開いてこちらを見ている。
‥‥‥緊張する。
私は小さく息を吐いた。
「わ、私も選ぶの手伝います。
何冊かすでに読んでいて、他の本も少し見たので、あらすじぐらいなら、分かると思います‥‥‥」
恐る恐るそう言うと、里村さんは眉を寄せて私を見る。
「えー、いいよ、私たちは汐留くんに聞いてるし」
里村さんの視線に、思わず身をすくめる。
私はこういう、人を拒むような視線が、とても苦手だ。
やっぱり私じゃだめかな。
そう思ったら、
「ちょ、ちょっと待って真里」
武田さんが慌てたように言う。
真里――里村さんの名前だ。
「私、本当にやばいんだよ。読んだことあるって言ってるんだったら、手伝ってもらおうよ」
必死な顔で里村さんを見る。
そ、そんなにやばいんだ‥‥‥。
それでも里村さんが迷っていると、黙って見ていた汐留くんが、口を開いた。
「本なら西本さんの方が詳しい。
俺も手伝う」
「分かったわよ」
里村さんが、不承不承答えた。
私は小さく頷いた。
けれど、内心ではため息をついていた。
汐留くんの力になろうとしたつもりが、結局また助けてもらってしまった。
里村さんの態度に怯んでしまうなんて、私はやっぱり成長していない。
