図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜

汐留くんも作業が一段落したのか、カウンターへ戻ってきた。



その時--。



「いたいた!汐留!」



突然、二人の女子が図書室に入ってきた。


違うクラスの子だけど、一人は一年生のとき同じクラスだった里村さんだ。


もう一人には見覚えがなかった。



里村さんたちは私には目もくれず、まっすぐ汐留くんのもとへ向かう。



「ねえ、夏休みの現代文の課題で使う本、選ぶの手伝ってくれない?
本のリスト、多すぎてどれ読めばいいか分からないんだよね」



ああ、なるほど……



多分、その課題は、二年生共通で出されているもの。



先生から指定された本の中から一冊選んで、取り組む課題だった。



汐留くんの眉がわずかに動く。



「選ぶのも含めて課題だろ」



いつもの、突き放すような言い方。だけど、最もだ。



里村さんは、構わず続ける。



「いいじゃない。図書委員なんだし。それに汐留も同じ課題やるでしょ?

特にこの子、あっ、この子武田早紀ね、現代文本当にやばいんだって」



里村さんが武田さんを指す。その子は、潤んだ瞳で汐留くんを見ている。



少し大げさな気もするけれど、困っているのは本当なのかも。



うちの現代文の先生、結構厳しいし。



汐留くんは武田さんをちらりと見る。そして、小さくため息をつくと、立ち上がった。



汐留くん、優しいから、困っている人は放っておけないんだろうな。



私はふと、前に汐留くんが教室で私を庇ってくれたことを思い出した。



思わず立ち上がる。



「あ、あの」


みんな一斉に私を見る。