「今日は観戦だけだったけど、私もバスケやってみたくなったよ。
体育では全然シュートが入らなかったけど‥‥‥。
シュートだけでも、少し上手になれたらいいな」
私がそう言うと、汐留くんは目をしばたたかせた。
「俺の言葉、そんなふうに受け止めてくれるなんて思わなかった」
それから少し考えて、言った。
「シュート、今度教えようか」
「え?いいの?」
「うん。いいよ」
汐留くんは頷いた。
汐留くんに教えてもらったら、上手くできそうな気がするな。
そう思って喜んだのも束の間。
あれ、今すごいこと言われなかった?
教えてくれるって、二人で練習するってこと‥‥‥?
いや、まさか。
きっと今のは、私がバスケに興味を持ったから、優しさで言ってるだけだよね。
二人で練習なんて、ありえないよね。
私は自分に言い聞かせた。
そうでもしないと、変な誤解をしてしまいそう。
何か話題を変えよう。
え、えと……。
あ、そうだ。
「そ、そういえば」
私は思い返すように言った。
「最後のシュートのあと、汐留くん、ちょっと笑ってたね」
少し珍しい気がしたけど、やっぱり汐留くんも嬉しかったよね。
「ああ」
汐留くんは頷き、そしてこともなげに言った。
「西本さんの声が聞こえた気がして」
えっ。
汐留くんの言葉に、声を失う。
自分の心臓の音が、やけに大きく聞こえた。
「わ、私の声?え、で、でも‥‥‥聞こえたの‥‥‥?」
驚きすぎて、言葉がつっかえてしまった。
汐留くんは、私をまっすぐ見た。
