国枝くんが去ったあと、私と汐留くんは二人になった。
時刻は夕方近くになり、夏の静かな空気が流れていた。
汐留くんの背後には、薄灰色の体育館が見える。
体育館で見たバスケの試合も、今はどこか遠くに感じた。
私は汐留くんを見る。
汐留くんも私を見ていた。
ーー汐留くん、本当に、どうしてここにいるんだろう。
たまたま通りかかっただけなのかな。
私はこの状況に少しドキドキしながら、言った。
「汐留くん、お疲れ様。勝ったね!」
汐留くんが頷いた。
「ありがとう。どうだった?」
考えるより先に、言葉が出て来た。
「汐留くん、すごかったよ。いっぱい活躍してたし、最後のシュートも感動した‥‥‥」
私が言い終えると、汐留くんはなぜか、ふっと顔を背けた。
私は首を傾げた。
何かおかしなこといったかな。
「いや、スポーツ観戦、あまりしたことないって言ったから。どうだったかなって」
