もう時間がない。
汐留くんは、ゴールから離れた位置ーーコートの中央寄りからシュートを決めようとする。
周りが応援する中、私も自分の声を重ねていく。
自分でも驚くくらい大きな声で。
「頑張って!」
ボールが汐留くんの手から離れた。
ピッ――。
試合終了を告げるブザーが鳴った。
静寂が訪れる。
ボールはリングに触れ、リングの周りをくるっと回る。
――入って……。
私は両手をぎゅっと握りしめる。
そして、ボールは――。
リングの中へ吸い込まれていった。
体育館が、わっと歓声に包まれた。
スコアボードを見る。
55対53。
東高の逆転勝利。
「やったね!」
「勝ったー」
佳奈や由梨も嬉しそうに飛び跳ねる。
私も
「よかったー」
と、胸を撫で下ろし、拍手を送った。
――本当にすごいな、汐留くん。
「しーちゃん、声出してたね」
由梨に言われ、少し照れてしまう。
「うん……応援したくなっちゃって」
分かる分かる、と佳奈は頷く。
私にしては大きな声だったけど、周りはもっと声を張り上げてたので、汐留くんには届いてないと思う。
それでも、
応援できて、よかった。
コートの向こうで、汐留くんが東高の選手に囲まれながら、こちら側を見ていた。
気のせいかもしれないけど……。
少し笑っているような気がした。
