ボールを目で追いかけるだけで忙しい。
佳奈や由梨は声に出して応援しているけど、私はもう見るだけで精一杯だった。
自分が声を上げるのも、少し恥ずかしい。
――あっ、ボールが相手チームに渡った。
相手選手がドリブルをしながらこちらに向かって来た。
味方にパスをする。
だけどその前に、東高の選手が横から出てきてボールを素早く奪った。
パスをして谷口くんにボールが渡る。
「いけー!」
と、佳奈が手を上げて叫ぶ。
谷口くんが、そのまま向こう側のゴールに向かって駆け抜けていく。
そしてステップを踏み、ゴールの下からシュートを決めた。
歓声が上がる。
スコアボードに二点入った。
「すてき〜」
「谷口くん、カッコいい」
谷口くんのうちわを持った子たちが喜んでいる。
「やったー!」
佳奈がまた手を上げる。
「谷口くん、最初に入れたね」
由梨もはしゃいでいる。
私も小さく拍手した。
◇
コートでは、南高の選手がドリブルしながらじりじりとゴールに近づいている。
東高の選手がボールを奪おうする。
二人の体が、何度かぶつかった。
私は少し目を見張った。
「け、結構ぶつかるんだね」
私が呟くと、由梨が頷いた。
「体育の授業と比べたら、激しいね」
「うん」
思っていたより、ずっと激しいスポーツなんだ。
本で読むのとやっぱり違う。
南高の選手がゴールを決めてしまった。
◇
