「そ、そうだね」
それにしてもこの状況……。
周りから
「え、何?」
「どういうこと?」
という声が聞こえてくる。
私は恥ずかしくなって目を伏せた。
「こら!国枝!」
国枝くんと同じユニフォームを着ている男子が、ものすごい形相でやって来た。
「キャプテン……」
「お前、こんなところでナンパすんじゃねえ」
威圧感のある声で言う。
「ナンパじゃないすよ。中学の時の同級生っす」
「どっちでもいい。とにかく来い。先方に失礼だろうが」
「あ、引っ張らないで」
国枝くんが、キャプテンと呼ばれた男子に引きずられていく。
……と思ったけど、
「ちょっと待ってください!」
国枝くんはキャプテンの手を振りほどくと、私のところへ戻ってきた。
「あっ、おい!」
キャプテンが慌てて追いかけてくる。
国枝くんは構わず、私に顔を近づける。
そして、耳打ちする。
「試合終わったら待ってて。話がしたい」
え?話?
私は戸惑いながらも小さく頷く。
国枝くんは、満足げに微笑み、
「じゃあ、またあとで!」
と言った。
そして、今度こそキャプテンに腕を掴まれ、私に手を振りながら、そのまま連れていかれた。
コートで、キャプテンと国枝くんが、汐留くんたちに向かってペコペコ謝っていた。
「栞〜!」
「どういうことなのー?」
佳奈と由梨が「説明してよ」という目で私を見る。
「あ、後で話すよ。とにかく今は見よう」
私はコートを指差した。
どういうことか、こっちが聞きたいよ……。
コートに視線を戻す。
汐留くんと目が合った……気がする。
けれど、それはほんの一瞬で、汐留くんはすぐに視線を落とした。
