図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜

と思ったら、前の女子たちの声が聞こえた。



「え、今、私を見た?」



「いや、違うでしょ」



「私だよ。昨日お菓子渡したからかな」



「何言ってんの。いらないって断られたじゃん」


……やっぱり気のせいだったよね。



恥ずかしい。



女子たちが話を続ける。



「汐留くん、今日よくうちら女子のこと見るよね」


「確かに。いつもは全然見ないのに。誰か探してたりして」


「私だ」


「だから、違うって」


女子たちのやりとりを聞いているうちに――。



不意に、視線を感じた。




前を見ると、今日の対戦チームの一人と目が合った。



――あれ、この人……。



見覚えのある顔だった。



向こうも驚いて目を見張り、それから――



「えっ!西本さん?」


と、声を大きく張り上げた。



場が一瞬、静寂に包まれた。



だけどその男子は、そんなことは気にせず、私の方へ向かってくる。



え、こっち来るの?



男子は私の前で立ち止まった。



「西本さんだよね?」



「う、うん……」



私はぎこちなく頷いた。



「俺のこと覚えてる?」



男子はニコニコしながら、自分を指差す。



「‥‥‥く、国枝くん?
中学のとき、同じクラスだった」



「そうそう、覚えてくれたんだ。良かった〜」



人懐っこい笑みを浮かべるその男子は、中学三年のときに同じクラスだった国枝大翔(くにえだ ひろと)くんだ。



中学を卒業してからは、一度も会っていない。



まさかこんなところで会うとは。



「まさかこんなところで会えるなんてな」



国枝くんも同じことを思っていたみたい。