私たちは体育館の隅、ゴールに近い場所を取った。
前の人たちは座っていたので、私たちは立ったままコートの様子をよく見ることができた。
選手たちはユニフォームを着ていて、それぞれのチームでウォーミングアップをしていた。
東高のチームは、私たちがいる場所とは、反対側にいる。
汐留くんは――いた。
みんなと同じ白いユニフォームを着て、手や足首を伸ばしていた。
いつもと雰囲気が違う……。
隣の佳奈が笑って女子たちを指差した。
「わー、本当にうちわ作っている人いるな」
「『汐留くん、だいすき』だってね」
「えっ」
由梨の言葉に、私は思わず声を上げた。
だいすき?
佳奈が指した方を見る。
わー本当だ。
持っている子がいる。ほかにも似たようなメッセージを書いたうちわを持っている子が何人かいた。
「汐留くーん」
「こっちー!」
「頑張ってね」
と、声もあげている。
「ちゃっかりしてるな」
佳奈は少し肩をすくめた。
由梨も「そうね」とふふっと笑うけど、私は何も言えなかった。
――本当に、汐留くんって人気者なんだな……。
汐留くんは、ふと顔を上げた。
応援スペースを見渡すように視線を動かし始める。
こちらを見たとき、視線が止まった。
すると、表情のなかった汐留くんが、一瞬だけ和らいだ気がした。
しばらくして、汐留くんはまたコートへ視線を戻した。
今、目が合った……?
