汐留くんが続ける。
「それに、スポーツは見ているだけでも楽しい」
「そうなんだ。スポーツ観戦もしたことないな」
体育や球技大会くらいかな。
スポーツ小説は好きだけど。
前に読んだバスケ部の話、良かったな。ルールはよく分からないけど、楽しめた。
ふと、思い出す。
「そういえば、由梨や佳奈が今度のバスケ部の合同試合、観に行きたいって言ってたなー」
私が何気なく言うと、汐留くんがぴたっと立ち止まった。
そして、こちらを見る。
「西本さんは観に来るの?」
「え?」
考えたことなかった。
スポーツが苦手な私が観てもいいものかどうか、分からなかったから。
「私は……」
「来て」
えっ。
汐留くんの顔を見上げる。
こんなふうに、汐留くんから強く言われるのは初めてだった。
まっすぐ私を見る表情に、少しドキドキした。
「私--行ってもいいのかな」
「うん。来て」
汐留くんが静かに言った。
--行きたいな。
私はこくりと頷いた。
「お、応援するね」
「ありがとう」
汐留くんが微笑んだ。
◇
この日の図書当番は、特にやることがなかった。
汐留くんに、
「またおすすめ教えて」
と言われたので、私は本を選んで渡した。
私と汐留くんは、カウンターで並んで、静かに本を読んだ。
