そんなことがあり、私は必死で耐えていた。
本当は栞に、
雨の中、汐留くんとどんな話をしたの?
汐留くんのこと、どう思ってるの?
とか、聞きたいことはいっぱいあった。
私には、二人がとてもいい雰囲気に見えたから。
でも、どうだろう。
栞は、あまり自分のことを話さない--。
私たちが恋愛系の本の話をすると、栞も話を合わせてくれる。
けれど、栞が普段読んでいる本の話や、普段どんなこと思っているのか、自分から話すことはあまりなかった。
私たちが話しているときも、栞はいつも微笑みながら聞いていることが多い。
今日のお昼休みのときだって--。
「今日の地理のグループワーク、どうだった?」
私が二人に尋ねると、由梨は少しため息をついた。
「テーマがなかなか決まらなくて。新井さんと私は米作りがいいと思ったんだけど、原くんたち男子は別のがいいって」
「そっかー。うちもちょっと揉めたけど、最終的には楽なやつを選んだよ」
私は、黙って話を聞いている栞を見る。
「栞は?」
「えっと……うちは、テーマは決まったかな」
それだけ言って、栞は少し苦い笑みを浮かべた。
私も、
「そっか、良かった〜」
とだけ返した。
本当は--栞のグループには芹沼とか、ハキハキした子が多くて、栞だけ少し居心地が悪そうにしていることに、私は気づいていた。
だけど、そのことを栞は口にしなかった。
