汐留くんが少し考えるように視線を上げた。
「俺はあまり表情変わらないから、結局、よく分からないやつだって言われそう」
確かに汐留くんが泣いたり、怒ったりするの想像できないかも。
笑った顔でさえ、意外に思ったくらい。
「私も‥‥‥。自分のこと話すの苦手だから。
たぶん、やっぱり分かりにくいって思われる」
そう言いつつ、今こんなこと話している自分が不思議だった。
前を見ていた汐留くんが私の方を向いて、静かに言った。
「でも俺、西本さんと知り合ってまだ数ヶ月だけど……西本さんのこと、少し分かる気がする」
「えっ?」
「西本さんは、好きなことに対して、真っ直ぐだと思った。言わなくても文章を読んだら分かるよ」
あの図書室だよりのことを言ってるんだ。
私は恥ずかしくなって、目を逸らす。
ややあって私も口を開く。
「私は、汐留くんは優しい人だなって思ってるよ」
汐留くんが目を瞬かせた。
「栞を一緒に探してくれたから。表情にはあまり出なくても、私のこと考えてくれてるんだって思った」
汐留君も、顔をわずかに伏せた。
しばらく沈黙した後、やがて真っすぐ私を見て言った。
「‥‥‥誰にでも、優しいわけではないよ」
えっ?
どういう意味だろう?
聞き返そうとしたけど、
「ねえ、雨上がったよ」
と佳奈の声がしたので外を見る。
