「私も共感できるセリフあったよ」
「どんなセリフ?」
私はセリフを思い返した。
「『別にいいでしょ、このままでも』かな」
汐留くんが首を傾げた。
「どうして?」
「引きこもりがちな女の子のセリフなんだけど」
「うん」
「内心変わりたいのに諦めてしまうの……ちょっと分かる気がする」
たとえば、私のこの引っ込み思案な性格、佳奈や由梨との関係。
別にこのままでも楽しい。
だけど、本当にいいの?って。
それを全部伝えるのは難しくて、でも幸い汐留くんは「そうか」としか言わなかった。
「汐留くんは?」
「俺は‥‥‥『勝手に決めるな』かな」
「えっと、野球少年のセリフだね」
汐留は頷く。
「きついって思うときあるよな。
見た目やイメージだけで、色々決めつけられると」
「そうだよね」
汐留くんも、何か思うことがあるのかもしれない。
心なしか、雨が少し弱まった気がする。
佳奈と谷口くんはまだ二人で喋っていた。
私も言葉を続ける。
「あの五人、短時間だったのにお互いのこと、結構分かり合えたんじゃないかな」
「うん」
「でも私この本読んで……。もし同じ状況になっても、自分はあんなふうに感情的になったり、言いたいこと言えるのかなって思ってしまう」
