「いやー、降ってるなー」
谷口くんが空を見上げながら言う。
汐留くんが見つけてくれたのは、東屋だった。
古いけど、わりと大きく、4人でも余裕で入れた。
各自のリュックやゴミ袋、トングは端っこのほうに置いた。
--本当にすごい雨。結構濡れちゃった。
みんなタオルで自分の体を拭いている。
佳奈がスマホを見ながら言った。
「他のコースの子たちも雨だって騒いでるよ。
先生から、とりあえずどこかで雨宿りして、ハイキングは中止で、止んだらすぐ下山してって。
とは言ってもねー」
佳奈はどんよりした空を見つめた。
「止むのかなー」
「山は天気が変わりやすいし、待ってたら止むかもしれないよ」
私が言うと、「そっか〜」と佳奈はつぶやく。
「雨といえばさー、中学の遠足の時も途中で雨降って中止になったんだよねー」
佳奈が言うと、それに谷口くんが反応する。
「え、俺の中学もそうだったよ」
その言葉に佳奈は笑った。
「そりゃあそうだよ。だって谷口くん、私と同じ中学じゃん」
「え?」
谷口くんは目を丸くする。
「佐々木さんも同じ中学校なの?ご、ごめん。俺佐々木さんのこと知らなかったよー」
と、少し罰が悪そうに言った。
「クラス同じになったことなかったからね。谷口くんや汐留くんは有名だったから知ってたけど」
「佐々木さんは三年の時、何組なの?」
「私は三組だよー」
「じゃあさ、白田先生知ってるの?」
「もちろん。いつも二日酔いで授業している数学教師!」
「そうそう!」
--な、なんか、二人で盛り上がってるな。
私は話についていけず、二人から少し離れた。
二人とも楽しそうだ。
東屋に響く雨音に、二人の笑い声が重なる。
ふと、隣に人の気配がした。
「西本さん」
