図書室の恋だより〜ただ静かに、君とページをめくりたい〜





案の定、委員会決め終了後――。



「ねえ、西本さん図書委員代わってよー」



「西本さんが一言先生に言えば代えてくれるって」




クラスでも特に目立つ女の子たち、田中さんたちのグループが、私の席を囲んだ。



やっぱり、そうなるよね‥‥‥。



どうしよう‥‥‥。



返す言葉が見つからない私に、助け舟が出された。



「もう決まったことでしょ!」



カッコよく、きっぱり言ってくれたのは、私のクラスの友人、佐々木佳奈(ささき かな)




佳奈の言葉に田中さんたちは、何か言いながらも去っていった。



「佳奈、ありがとう」

私は感謝の気持ちを込めて、佳奈に手を合わせた。

佳奈はにっこり笑った。



「しーちゃん、なんだか大変なことになったね」



のんびりした口調でも心配してくれているのは、もう一人の友人、前田由梨(まえだ ゆり)



「う、うん……」



私は小さく笑った。



「でも本当に、汐留くんなんで図書委員に立候補したんだろ。本好きなの?」



佳奈が首を傾げた。



「一年生の時から汐留くんの噂はいろいろ聞くけど……。本が好きって話は聞いたことないな」

由梨が手を顎に当て、思い出すように視線を上げた。



「別に、図書委員は本が好きじゃないといけないわけじゃないけど。
あの司書がいる図書室だよ?

栞みたいに図書室が好きじゃないと、なろうと思わないよ」


佳奈の言葉に、私は曖昧に頷いた。


佳奈と由梨--。


私が、クラスで仲が良いと呼べる友人はこの二人だけ。

佳奈は、お姉さんタイプの美人でおしゃれだ。

由梨は、ショートボブで、ふんわりしてとても可愛い。
男子に人気だけど、大学生の彼氏がいる。



私は平凡な顔立ちで、髪は肩まで下ろしているだけ。

二人と比べたら、かなり地味だ。



でも地味でもいい。

とにかく私は、高校三年間を穏やかに過ごしたい‥‥‥。




私はため息をついた。



「私、汐留くんと話したことないよ。ちゃんと一緒にできるかな」



「汐留くん、ちょっと女子が苦手な感じするよね」

由梨が言う。



対して佳奈は、励ますように明るく言った。



「大丈夫だよ!
汐留くんしっかりしてそうだし、去年みたいに相方がサボるってことはないんじゃない?」




去年の図書委員の男子。

最初こそ一緒に当番をしてくれたものの、途中で


『ごめん、ちょっと部活で忙しくて』


と言い、来なくなってしまった。



正直、よく知りもしない男子と2人になるのは気まずかったので、逆にありがたかったんだけど……。



私は男子が少し苦手。

なんとなく緊張してしまって、うまく話せない。



そんな私の気持ちを察してか、佳奈は言う。



「目の保養が近くにいると思ったらいいよ!栞だって『汐留くん、カッコいい〜、ラッキー』って思うときが来るかもしれないよ!」



私は苦笑する。



「そんなふうに思えたらいいんだけど……」



まあ、でも。

少し思い直した。

同じ委員会だとしても、そんなに関わらないよね。



汐留くんも、私みたいな地味なタイプとは合わないと思ってるだろうし‥‥‥



--と、思っていたんだけど‥‥‥。