それでも一応ペア行動なので、私と谷口くんは並んで歩いた。
しばらく歩いていると、谷口くんが、
「あ、西本さん。あれ猫じゃない?」
と指をさす。
見ると、茂みから茶色い猫がひょっこり現れた。
「本当だ」
「あいつ、茶碗に似てるなー」
「え、茶碗?」
猫が茶碗に似てる?
「あ、うちの近くにいる野良猫の名前。
俺が名前つけたんだけど、家で使っている茶碗の模様に似てるから『茶碗』」
それを聞いて、思わずふふっと小さく笑ってしまった。
猫に似ているって、一体どんなお茶碗使ってるのだろう。
ふいに、ドサッと後ろから音がした。
振り返ると、汐留くんがゴミ袋を落としていた。
汐留くんは、すぐに何事もなかったように拾い直す。
「茶碗の写真、見る?」
谷口くんがスマホをポケットから取り出した。
「えっと……野良猫の写真?」
「ううん。家の茶碗」
「……あっ。本当に似てるね」
「でしょー」
谷口くんが微笑んだ。
「ね、ねえ、見て!あっち、結構ゴミあるんじゃない?拾いに行こうよ」
と佳奈が前の方を指した。
谷口くんが少し苦笑して言った。
「一応俺たち競争してるんだよ。教えて良いの?」
「いいじゃない。そんなの競うより、一緒に拾ったほうが楽しいって」
と佳奈が返す。
「それもそうかー」
谷口くんは意外にもあっさり納得して、全員で山道の脇のゴミを拾うすることになった。
気のせいか、さっきより空が暗くなってきた気がする。
