ぐっと引き寄せられ、今度は体が前へ傾く。
視界が大きく揺れ、緑色のジャージが目の前に広がる。
気付いたときには、私の体は、谷口くんの体にしっかり預けられていた。
う、うわー。
心臓が跳ねる。
私は慌てて一歩下がった。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい」
頭を何度も下げる。
谷口くんも申し訳なさそうに眉を下げた。
「いや、こちらこそ驚かせてごめんね。気づかなかったんだ」
「う、ううん」
気まずいな‥‥‥と思ったとき、
「あれ、栞じゃん!」
声がして、振り向くと佳奈と汐留くんが立っていた。
二人ともこちらを見ている。
「佳奈‥‥‥」
さっきの、見られてしまったかな。
けれど、私の心配をよそに、佳奈が
「同じコースなんだね!一緒に行こうよ」
と、いつもの明るい声でこちらに向かってきた。
ほっとする。
「いいよね?」
と佳奈が男子二人に目配せする。
「いいよ!」
と谷口くんが軽い調子で答える。
汐留くんもうなずいたので、四人で行くことになった。
