ハイキングはゴールまでいくつかのルートがあり、どの道を行くかはペアで話し合って決めることになっている。
ルールは、より多くのゴミを拾うこと、決められたルート
以外は歩かないこと、時間内に戻ってくること。
二人であれこれ話し合って--ほとんど谷口くんの意見だけど--なんとかルートを決め、歩き出した。
◇
舗装された山道を、二人で歩く。
木々の隙間から差し込む太陽の光が、足元を照らす。
時々、鳥のさえずりや川が流れる音も聞こえてくる。
移動中、二人でごみを見つけては立ち止まり、拾うことを繰り返した。
少し先にほかのクラスメイトのペアがちらほら見えた。
道端には、名前の知らない小さな花がたくさん咲いていて、湿った風に揺れている。
谷口くんは私の歩くスピードに合わせてくれていた。
「大丈夫?」とか、「お手洗い行く?」とか、さりげなく気を遣ってくれる。
谷口くんがモテるのも分かる気がするな。
「あ、ほら見て。お菓子の袋、捨ててある」
谷口くんが、道端に落ちていた菓子袋をトングで摘み上げる。
「本当だね」
私も袋を見る。
そのとき、袋の隙間から何かが動いた。
虫だと分かった瞬間、全身がぞわっと総毛立った。
「きゃっ」
と小さな声を上げ、反射的に後ずさる。
手に持ってたトングを落としてしまう。
体が後ろへ傾くのが分かる。
あ、倒れちゃう--。
そう思った瞬間、
「危ない」
と声がした。
トングとゴミ袋が落ちる音がして、同時に手をつかまれた。
