図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜



ハイキングはゴールまでいくつかのルートがあり、どの道を行くかはペアで話し合って決めることになっている。


ルールは、より多くのゴミを拾うこと、決められたルート
以外は歩かないこと、時間内に戻ってくること。


二人であれこれ話し合って--ほとんど谷口くんの意見だけど--なんとかルートを決め、歩き出した。   






舗装された山道を、二人で歩く。



木々の隙間から差し込む太陽の光が、足元を照らす。



時々、鳥のさえずりや川が流れる音も聞こえてくる。



移動中、二人でごみを見つけては立ち止まり、拾うことを繰り返した。



少し先にほかのクラスメイトのペアがちらほら見えた。



道端には、名前の知らない小さな花がたくさん咲いていて、湿った風に揺れている。



谷口くんは私の歩くスピードに合わせてくれていた。



「大丈夫?」とか、「お手洗い行く?」とか、さりげなく気を遣ってくれる。



谷口くんがモテるのも分かる気がするな。



「あ、ほら見て。お菓子の袋、捨ててある」



谷口くんが、道端に落ちていた菓子袋をトングで摘み上げる。


「本当だね」



私も袋を見る。


そのとき、袋の隙間から何かが動いた。


虫だと分かった瞬間、全身がぞわっと総毛立った。


「きゃっ」


と小さな声を上げ、反射的に後ずさる。


手に持ってたトングを落としてしまう。


体が後ろへ傾くのが分かる。



あ、倒れちゃう--。


そう思った瞬間、



「危ない」


と声がした。



トングとゴミ袋が落ちる音がして、同時に手をつかまれた。