谷口くんと二人でゴミ袋とトングを受け取り、歩き出した。
「あの、谷口くん」
私は少し躊躇いがちに声をかけた。
「ん?どうしたの?」
「私……こういうのあまり得意じゃなくて、歩くの遅かったらごめんね」
私は最初から正直に、自分の不安を打ち明けることにした。
あとから迷惑かけるかもしれないし……。
けれど、谷口くんは
「あー、大丈夫大丈夫!こういうのは気楽に楽しむのが一番だよ」
と、あっけらかんと、今朝母に言われたのと同じようなことを言った。
「あ、ありがとう」
よかった‥‥‥。
そっと胸を撫で下ろす。
谷口くんは笑って言った。
「俺、ハイキング久しぶりなんだよね」
「谷口くん……ちゃんとハイキングだって思ってるんだね」
ほかのみんなは、ゴミ拾いって呼んでいるのに。
「うん。ゴミ拾いもハイキングのうちだよ。登山家だってゴミ拾いする人いるらしいし」
それから、ふと思い出したように私を見る。
「あっ西本さん、一位狙ってる?」
「えっ」
「それなら頑張るけど」
「う、ううん!そんなことないよ」
私は手を振った。
一位以前に、ちゃんとたどり着けるか不安だった。
「そう?」
と谷口くんが言った。
私は男子が苦手だけど、正直、谷口くんみたいな軽い感じの男子はもっと苦手だった。
私みたいな地味な子は、盛り上げたりもできないし、退屈にさせるんじゃないかと思ってしまう。
けれど、谷口くんはそんなこと気にする様子もなく、純粋にこの行事を楽しんでいるみたいだった。
その姿がなんとなく、佳奈に似ている。
「どのルートで行こうか」
谷口くんは、事前にもらった地図を広げ始めた。
思ったよりも頼もしいな……。
