私が首を傾げていると、汐留くんが続けた。
「西本さん、去年も図書委員だったよね」
私は目を丸くする。
「えっ、どうして知ってるの?」
汐留くんとは去年、クラスも違ったのに。
驚いている私を見て、汐留くんは少し口元を緩ませた。
そして、どこか懐かしむように、前を見つめながら言った。
「読んだんだ」
「読んだ?」
「西本さんが書いた図書室だより」
「え、図書室だよりって、うちの図書室の?」
汐留くんが頷く。
「あれ、読んでくれたの?」
「うん。読んだよ」
わあ……なんか恥ずかしいな。
図書委員の仕事の一環として、定期的に図書室だよりを書くことになっている。
図書室だよりには、新着図書のお知らせや、おすすめの本紹介、季節の特集などを載せている。
ただでさえ人気のない図書室。
忙しい高校生がわざわざ立ち止まって見ること自体、珍しい。
「あの図書室だより、いつもスカスカなのに、西本さんの担当のときはびっしり書いてて」
「うん……」
「すごいなって。本に対する熱量が。本が好きな人なんだなって」
自分の頬が、熱くなるのを感じた。
私は、図書室だよりを書くのが好きだ。
