図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜

夕方、自室。


私はさっそく、汐留くんにおすすめする本を考え始めた。


図書室にある本のほうが紹介しやすいし、そのまま借りてもらうこともできるかも。


あれもいい、これもいい。


思い浮かぶ本を、メモ用紙に何冊か書き出してみた。



汐留くんは、励ましてくれる本がいいと言った。


何か悩んでいることがあるのかな。



それとも、ただ少し気分を明るくしたいだけかな。



物語や言葉に触れることで、背中を押されたり、逆に立ち止まる勇気を与えてくれることがある。


今の汐留くんに響く本を、見つけられたらいいな。


少し考えて、


「これにしよう」


タイトルの横に丸をつけた。






次の図書当番の日。


私と汐留くんは教室を出て、一緒に図書室へ向かっていた。


「汐留くん」


私は汐留くんに声をかけた。


「これ、良かったら。図書室の本なの」


私は本のタイトルを書いたメモ用紙を、汐留くんに渡した。



結局、教室で渡す勇気がなくて、図書当番の日まで待ってもらっちゃった。




「『雨宿りの間に』」


汐留くんが、メモ用紙に書いてあるタイトルを読み上げる。



「前に落ち込んだとき、図書室でこの本を借りて、励まされたことあって」



汐留くんがメモ用紙に目を落としたまま、頷いた。



「ありがとう。これ借りてみるよ」



「う、うん。あ、あのー」



私は、ずっと疑問に思っていたことを口にした。



「どうして、私に本をすすめてほしかったの?

汐留くんも本が好きなの?」



汐留くんは少し間を置いてから、首を振った。



「本は、苦手」


「え?」



じゃあどうして?