図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜

「だからお礼をしたくて。何か私にできること、ないかな……」



昨日いろいろ考えた末、結局何も思い浮かばなかった。

だから本人に直接聞こう、という結論になった。

全くひねりのないやり方だけど……。

断られることは、覚悟して。



案の定、汐留くんはかぶりを振る。

「いや、たまたま通りかかっただけだから。気にしないで」

「そっか……」

少し、残念。

もし汐留くんに何か困ったことがあったら、そのときに何かできたらいいのかな。

私が黙ってうつむいていると、汐留くんがちらりとこちらを見た。

「あー、じゃあ……」

顔を上げる。

えっ、何か考えてくれるのかな。

そう思っていると、汐留くんは私を見て言った。

「今度、西本さんのおすすめの本、教えて」

「えっ」

私はその言葉を理解しようと、頭の中で反芻する。

「お、おすすめの本?」

あまりにも予想外の言葉だった。

「うん」

「えと……それだけでいいの?」

汐留くんが頷く。

「それってお礼になるの......?」

「なる」

汐留くんが即答した。



どうして、それがお礼になるんだろう。

私は、首をひねる。

だけど、汐留くんが言うなら。


「どんなのがいいかな?小説?エッセイ?時代ものとか?」

「小説、がいい。読みやすくて、なんか励まされるやつ」

「わ、わかった。探してみるね!」

私が少し張り切って言うと、汐留くんは、

「ありがとう」

と頷いた。