「そうか?」
「はは。朔、いつもガン見してるからなー」
と谷口くんが言った。
「まじかー」
「そう。たぶん、まばたきもしてないね」
「まばたきは、ちゃんとしてる」
汐留くんが真顔で答えた。
そっかー。汐留くん、スポーツ少年だもんね。
スポーツ用品とか?
うーん、ダメだ。私が分からない。
そんなことを考えていたら、ふいに汐留くんがこちらを見た。
視線が合い、私は慌てて目を逸らした。
◇
その後も私のお礼探しは続き--。
今は美術の時間。みんな鉛筆を動かしている。
汐留くんは、斜め前の向かいのテーブルに座ってる。
喋っている子も多いけど、汐留くんは静かに鉛筆を動かしていた。
文房具もいいのか。
私も鉛筆を動かしながら、汐留くんが使っているペンケースなどに目を向けてみた。
汐留くん、絵得意だし、鉛筆セットとか?
いや、小学生の入学祝いみたい……。
本当に絵が好きならともかく。
うーん。
汐留くんの鉛筆を持つ手が急に止まった。
視線を上げる。
汐留くんが、少しきょとんとした表情で私を見ていた。
私は、ぱっと自分の下手な絵に視線を戻した。
わー、私、絶対変なやつって思われた……。
んー、でもやっぱり全然思いつかないな。
私、汐留くんのこと何も知らないな。
でも、考えてみれば、別に物じゃなくてもいいよね。
何か困ってることとか、手伝えることとかないかな。
私は顔を上げた。
汐留くんはまた鉛筆を走らせていた。
