図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜


「そうか?」

「はは。朔、いつもガン見してるからなー」

と谷口くんが言った。

「まじかー」

「そう。たぶん、まばたきもしてないね」

「まばたきは、ちゃんとしてる」

汐留くんが真顔で答えた。

そっかー。汐留くん、スポーツ少年だもんね。

スポーツ用品とか?

うーん、ダメだ。私が分からない。

そんなことを考えていたら、ふいに汐留くんがこちらを見た。

視線が合い、私は慌てて目を逸らした。





その後も私のお礼探しは続き--。

今は美術の時間。みんな鉛筆を動かしている。

汐留くんは、斜め前の向かいのテーブルに座ってる。

喋っている子も多いけど、汐留くんは静かに鉛筆を動かしていた。

文房具もいいのか。

私も鉛筆を動かしながら、汐留くんが使っているペンケースなどに目を向けてみた。

汐留くん、絵得意だし、鉛筆セットとか?

いや、小学生の入学祝いみたい……。

本当に絵が好きならともかく。

うーん。

汐留くんの鉛筆を持つ手が急に止まった。

視線を上げる。

汐留くんが、少しきょとんとした表情で私を見ていた。

私は、ぱっと自分の下手な絵に視線を戻した。

わー、私、絶対変なやつって思われた……。



んー、でもやっぱり全然思いつかないな。

私、汐留くんのこと何も知らないな。

でも、考えてみれば、別に物じゃなくてもいいよね。

何か困ってることとか、手伝えることとかないかな。

私は顔を上げた。

汐留くんはまた鉛筆を走らせていた。