翌日の休み時間。教室の自分の席。
私は、栞を探してくれた汐留くんに、何かお礼ができないかと、ぼんやり考えていた。
汐留くんに何か渡そうとする女子は、たくさんいる。
何かのお礼とか、部活の応援とか。
でも私の記憶では、汐留くんはいつも断っていたと思う。
私が用意したところで、同じかもしれない。
だけど……。
あの栞は、本当に私にとって大切で、だから昨日は嬉しかった。
お礼について考えていたら、自然と視線が汐留くんの方へ向いてしまった。
汐留くんは、数人の男子と教室の壁際で話をしている。
女子にはそっけないけど、男子相手だとそうでもないみたい。
それでも、ひときわ落ち着いた雰囲気は変わらない。
やっぱり、女子が苦手なのかな。
でも、私とは普通に話してくれるし。
それとも図書室の女子たちみたいに、騒がれるのが嫌なのかな。
聞くつもりはなかったけど、汐留くんたちの会話が自然と耳に入った。
男子の一人が言った。
「汐留、昨日のバスケの試合、最後まで見たか?」
「うん。見た」
「〇〇選手、やっぱりすごいよな」
「うん。最後のプレーもだけど、その前のパスもすごかった」
「え?」
「あそこで一回引きつけてから出した。あれで相手が崩れてた」
「……お前、ほんと細かいところ見てるよな」
