「え、どうしてそうなるの?」
「ん、だって、今も自分の気持ち、抑えようとしてるんでしょ」
「そ、それは、もう嫌われたくなくて」
「それもあると思うよ」
谷口くんが頷いた。
「でも、佳奈ちゃん、西本さんの気持ちを一番に考えようとしているじゃん。自分を責めてしまうほどにね。俺は十分友達思いだと思うけど」
「で、でも……」
反論したかった。
「友達思い」だなんて、自分に釣り合わない言葉な気がする。
けれど、反論する言葉は見つからなかった。
それどころか、谷口くんの言葉で、体から少し力が抜けていくのに気づいてしまった。
「どんなことがあったのかは分からないけど」
谷口くんが前を向いたまま続けた。
「そんな佳奈ちゃんがやったことでこじらせてしまったのなら、結局その二人はそこまでだったってことなんじゃないかな」
「……」
「恋愛って二人でするものだし、うまくいくときはうまくいくし、うまくいかないときはいかない」
そう、どこか淡々とした口調で言った。
「全部、自分のせいだなんて思わなくていいよ」
私は谷口くんの言葉を、しばらく考えた。
「そう、なのかな」
「そうだよ」
谷口くんは力強くうなずく。
「ありがとう‥‥‥」
私が言うと、谷口くんは少し笑って言った。
「まあ、俺も人のこと言えないしな」
「何が?」
「俺も、朔の反応楽しんじゃってるし」
私は肩をすくめて小さく笑った。
「……確かにそうだね」
「だろー」
と、谷口くんが言った。
でも--。
私も知ってるよ。
谷口くんも、友達想いだってこと。
やがて、駅前の広場に着いた。
