図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜

そして、私は思い出したかのように慌てて目を擦り、涙が出てないことを確認する。



変なところを見られてしまった......。

ちょっと気まずい。





風が吹いて、汐留くんのやわらかそうな黒髪や詰襟の裾が揺れた。
 


「どうしたの?」


汐留くんが口を開いた。




「え、えっと、、」



どうしよう。言ってもいいのかな。


面倒なことを聞いてしまったとか、思わないかな。



私は少し躊躇ってから言う。




「あ、あそこのベンチで、本を読んでいたら--」



私は自分のカバンが置いてあるベンチを指した。



「栞が飛ばされてしまって」



汐留くんが首を傾げた。



「栞?」




一瞬--。



自分の名前が呼ばれたみたいで、少しドキッとした。



すぐに気を取り直して、言った。



「う、うん。青い押し花が入った栞なんだけど......。
あ、でもそのうち出てくると思うし......」



私が言い終わるや否や、汐留くんは、



「俺も探すよ」



と言って、カバンをベンチに置き、私の近くまで歩いてきた。



私は慌てて言う。



「え、そんな、悪いよ」



けれど汐留くんは、もうあたりを探し始めている。



「ここらへん?」



聞かれるままに答えてしまう。




「実はどこへ飛んでいったかわからなくて......」




言って、ますます自分が情けなくなった。



汐留くんは気にする様子もなく、頷く。



「俺、あっちの方探してくるから」

と言って、少し離れたところへ移動して探し始めてくれ
た。



汐留くん、本当に探してくれるんだ......。



不思議……。




さっきまで泣きそうだったのに、今は少し心強い。