恋人同士になった二人



“お父さんは家族より大切なものが出来たんだね。”

“さようなら。”

車から降りて来て、私に口止めしたお父さんを力一杯突き飛ばし、そう、捨て台詞を吐いて逃げ出した。

私はおばあちゃんの家に電話した。

おばあちゃんが出て、見たままの事を話した。


お父さんがお母さん以外の女の人と、車の中でキスしていたと。

本当はおじいちゃんに話を通すのが、一番早かった。

でも、おじいちゃんは現役の議員で私には良く分からない、難しい政治の仕事をしていて、議員会館や事務所の方にいる事が多くて、不在だった。

私はおじいちゃんが苦手。

厳格な人で顔が怖い。

おじいちゃんが苦手だから、お盆やお正月におばあちゃんの家に行く時、おじいちゃんがいると緊張するから、おじいちゃんが挨拶回りとか行事に出て、いないとホッとした。

入夏家は代々土地を持つ地主で、おじいちゃんは元教師で校長先生をやってたりした。

地元では名士として知られた。

おじいちゃんは周りから薦められて立候補して、政治家になった。


お父さんは元サラリーマンで、お母さんと結婚してから、政治の世界に入った。

お母さんは一人娘で、お父さんは婿養子だった。


おばあちゃんに、真緒ちゃんはどうしたい?と聞かれた。

もう、お父さんとは暮らしたくないと答えた。

父親の男としての部分、性欲が見えた。

中学一年という、多感な時期だったから、嫌悪感に酷く襲われた。


おじいちゃんが許すとは、到底思えなかった。

事実、両親は離婚した。


おばあちゃんに、浮気相手はどこの誰だったのか、聞いた。

後になって、当時、中学一年の私から見ても、若い女の人という認識だったから、未成年と関係を持って、淫行してたのではと疑った。


相手は女子大生で、成人はしていた。

気持ち悪さは変わらなかった。


その女子大生は、おじいちゃんの事務所を手伝う、ボランティアスタッフだった。

……最低最悪。

身近なところで手を出していた。