相合傘じゃなくて、私に貸してくれるってこと?
でもそれじゃあ先生が濡れちゃうじゃん。
このバス停から校舎の入り口まで走って1分はかかる。
戸惑いながら手を引く私に、先生はなおも傘を私の方に押し寄せた。
「風邪ひくだろ。」
そう言う浅生先生の表情は、さっきと全く変わらない仏頂面で。
でもどことなく柔らかさを感じた。
浅生先生って、そんな表情するんだ。
いつも不機嫌そうで、ちょっと近寄りがたい雰囲気なのに、
この一瞬だけは違った。
そんな風に見とれている私の隙をついて、先生は半ば強引に傘を握らせた。

