賑やかな喧騒から少し離れた中庭へ足を踏み入れる。
大きな木の木陰に、ポケットに手を入れて壁にもたれかかる影を見つけた。
「……遅い」
私に気づいた冴くんが、すっと顔を上げる。
腕時計に目をやりながら少し不機嫌そうに呟くけれど、その表情にはどこか安堵したような色が混ざっていた。
「ごめんね、氷室くん! シフトの引き継ぎでちょっと長引いちゃって……待たせちゃった?」
「……別に。今来たところだ」
そっぽを向いて歩き出した。
「あのね、結城くんが『冴と屋台回りたかったのにノリ悪い!』って探してたよ?」
「……あいつの相手をしてたら日が暮れる」
相変わらずの素っ気なさだけど、私と並んで歩いてくれる足取りはとても柔らかい。
二人で校舎裏の模擬店エリアを歩く。
周りの生徒たちが「え、氷室くんが女子と回ってる……?」「あの子、一ノ瀬さんだよね?」とざわつき始めた。
(うぅ……やっぱり目立っちゃうよね……)
少し気まずくなって身を縮めると、冴くんがスッと私の歩道側に移動し、周りの視線を遮るように寄り添ってくれた。
さりげない優しさに、胸の奥がキュンと熱くなる。
「……何食いたい」
「えっ? あ、じゃあ……あそこのベビーカステラ!」
大きな木の木陰に、ポケットに手を入れて壁にもたれかかる影を見つけた。
「……遅い」
私に気づいた冴くんが、すっと顔を上げる。
腕時計に目をやりながら少し不機嫌そうに呟くけれど、その表情にはどこか安堵したような色が混ざっていた。
「ごめんね、氷室くん! シフトの引き継ぎでちょっと長引いちゃって……待たせちゃった?」
「……別に。今来たところだ」
そっぽを向いて歩き出した。
「あのね、結城くんが『冴と屋台回りたかったのにノリ悪い!』って探してたよ?」
「……あいつの相手をしてたら日が暮れる」
相変わらずの素っ気なさだけど、私と並んで歩いてくれる足取りはとても柔らかい。
二人で校舎裏の模擬店エリアを歩く。
周りの生徒たちが「え、氷室くんが女子と回ってる……?」「あの子、一ノ瀬さんだよね?」とざわつき始めた。
(うぅ……やっぱり目立っちゃうよね……)
少し気まずくなって身を縮めると、冴くんがスッと私の歩道側に移動し、周りの視線を遮るように寄り添ってくれた。
さりげない優しさに、胸の奥がキュンと熱くなる。
「……何食いたい」
「えっ? あ、じゃあ……あそこのベビーカステラ!」

