クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「マジで!? よし、捜索開始だ! 一ノ瀬ちゃん、サンキュー!」

元気に走っていく結城くんの背中を見送りながら、私はクスッと笑ってしまう。

「ふふ、結城くんと氷室くんって本当に仲良しだね」

「まあ、氷室くんのあのノリの悪さにめげずに絡んでいくの、結城くんくらいだもんね〜」

ゆいがクスクス笑いながら言う。
本当は誰かと一緒に回るのが嫌いな冴くん。なのに……どうして私とは「午後に一緒に回る」って約束してくれたんだろう。

シフト時間が終わり、後交替のクラスメイトに受付を引き継ぐ。

「緋奈〜、この後どうする? 他の展示見に行く?」

「あ……ごめんね二人とも! 私、これからちょっと用事があって……!」

「用事〜? ……あ! もしかして〜?」

葵とゆいが顔を見合わせてニヤニヤと意地悪く微笑む。

「うっ……ち、違うよ! とにかく、後でまた合流しようね!」

真っ赤になった顔を隠すように二人に手を振り、私は約束の場所――静かな中庭へと駆け出したのだった――。