クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「……一ノ瀬」

「あ、あのね……! 明日の文化祭、氷室くんは誰かと一緒に回るの……?」

思わず口から飛び出した質問に、自分でも驚いて口を塞ぐ。
冴くんは少し目を見開いたあと、呆れたようにふっと息を漏らした。

「回るわけねぇだろ。俺はシフト以外、適当に屋上で時間潰す」

「えっ……それじゃもったいないよ! せっかくの綾瀬祭なのに……」

結城君たちとは行かないらしい

相変わらずのイベント無関心ぶりに、ちょっと寂しくなると冴くんは困ったように眉を下げた。

「……お前は」

「え……?」

冴くんはポケットに手を突っ込んだまま、少しだけ気まずそうに視線を泳がせた。

「……お前は誰と回るんだよ」

「私は葵とゆいと……あ、でも! もし氷室くんが暇なら……その、一緒に回れたら嬉しいな、なんて……」

勇気を振り絞ってそう言うと、冴くんの耳が瞬く間に真っ赤に染まっていく。
彼はそっぽを向くと、ボソッと小さく呟いた。

「……午後のシフト終わったら、中庭にいろ。……約束だ」

そう言って早足で歩き去る彼の背中を見送りながら、私の胸は明日への期待でいっぱいになっていた――。