クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「緋奈ちゃん、顔真っ赤だけど大丈夫〜?」

クラスメイトのひとりに言われて、私は首をブンブンと横に振る。

「う、うん! 部屋がちょっと暑いだけで……!」

チラッと冴くんの方を見ると、冴くんは結城くんの頭をバンッと叩いて「うるせぇ」と吐き捨てていた。
だけど、彼の首元も夕日に染まったみたいに赤くなっていて。

(氷室くんも……周りに言われて気にしてるんだ……)

「一ノ瀬、これ持っとけ」

冷やかしの空気を断ち切るように、冴くんが歩み寄ってきて、大きめのカッターナイフと定規を私の手に持たせた。

「あ、うん……ありがとう?」

「……変なこと言われても気にすんな。あいつら面白がってるだけだから」

そう言って背中を向けた冴くんの聲は、どこか少しだけ優しくて。
『面白がってるだけ』という言葉に、私の胸がなぜか少しだけチクッと痛むのだった――。