クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「……鍵、閉めて帰るぞ」

「あ、うん……!」

冴くんは一度も私と目を合わせないまま、早足で教室を出て行ってしまう。

私は慌ててカバンを持つと、自分の胸にそっと手を当てた。
静かな廊下に響く自分の鼓動が、今まで聞いたこともないくらい早くて、激しくて。

(どうしよう……。氷室くんのこと、『友達』って思うと……胸がすごく痛いよ……)

無自覚だった感情の芽生えに戸惑いながら、私は赤くなった頬を押さえて彼を追いかけるのだった――。