クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

買い出した材料を抱えて教室に戻ると、他のクラスメイトたちはすでに作業を終えて下校していた。

「あ、みんなもう帰っちゃったんだ……」

「そりゃそうだろ、もう完全下校の5分前だぞ」

冴くんは荷物を床に置くと、少し疲れたように肩をすくめた。
夕暮れ時の教室はオレンジ色の光に包まれていて、どこかいつもと違う特別な雰囲気が漂っている。

「氷室くん、本当にありがとう。これ、明日みんなで組み立てようね」

「おう」

荷物を整理しようと私が棚の上のスペースに手を伸ばした時だった。
背伸びをしても届かず、バランスを崩してグラッと体が傾いてしまう。

「あ、キャッ……!」

「おい、危ねぇ……!」

倒れそうになった私の体を、後ろから冴くんの大きな手がしっかりと受け止めてくれた。

え……?

ガタッと椅子が鳴る音と同時に、背中に伝わる冴くんの体温。
すっぽりと彼の腕の中に収まるような形になってしまい、ふわりとシトラスの香りが鼻腔をくすぐる。

「……っ」

「ひ、氷室くん……?」

すぐ耳元から聞こえる荒い息遣いに、私の心臓がドクンと大きく跳ね上がった。