クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

翌日の昼休み。購買でパンを買った帰り道、私は廊下で結城くんたち数人の男子と話している氷室くんを見かけた。

「おい冴〜、お前次の体育サッカーだろ? 勝負な!」
「あ、一ノ瀬ちゃんだ。うす!」

結城くんが私に気づいて手を振ると、友達と話していた氷室くんがくるっとこちらを振り返った。

「一ノ瀬? パン買えたのか」

「うん、焼きそばパン買えたよ。氷室くんは……?」

氷室くんはいつも通り、友達の中心にいながらクールな顔で「俺はこれ」と買ったパンを見せてくれた。

「一ノ瀬ちゃんも大変だな〜。このツンデレ王子の相手すんの笑」

「えっ……あ、ううん! 氷室くん、いつも勉強教えてくれたりして優しいよ……?」

私がそう言うと、周りの男子たちが「おーーっ!」「言われてんぞ冴!」と大盛り上がりした。

「……お前ら、いい加減にしろ。チャイム鳴るぞ、教室戻れ」

氷室くんは友達を追い払うようにシッシッと手を振っている。

「じゃーな一ノ瀬ちゃん! 冴をよろしく〜!」

結城くんたちは爆笑しながら教室へ戻っていった。
廊下に二人だけが残される。

「……あいつら、余計なことしか言わねぇ」

ボソッと不機嫌そうに呟く氷室くん。
でも、照れ隠しに前髪をぐしゃっとかき上げる仕草がすごくカッコよくて、私の胸はやっぱりトクンと鳴ってしまうのだった――。