クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

落ち込む私を見て、煌月さんは不思議そうに首を傾げた。

「ちょっと一ノ瀬さん、なんであんたがそんな暗い顔してんのよ。まさか……冴くんの『好きな奴』が誰だか分かってないの?」

「えっ……? だ、だって氷室くんは善意で私と仲良くしてくれてるだけで……」

「はぁぁぁぁ……っ!? 妹あんた正気!?」

廊下に響き渡るほどの声で叫び、呆れ果てた顔で天を仰ぐ煌月さん。
それから、クスッと可笑しそうに笑った。

「もういいわ! あんたがあまりにもポンコツすぎて、涙も引いちゃったじゃない!」

煌月さんはガシッと私の両肩を掴むと、ニヤリといたずらっぽく笑った。

「決めたわ。私、今日からあなたの『恋愛プロデューサー』になってあげる!」

「えぇっ!? ぷ、プロデューサー!?」

「そうよ! 冴くんを振り回す権利、あんたに譲ってあげるんだからね! 覚悟しなさい、一ノ瀬さん!」

振られたばかりなのに、どこかすっきりした顔の煌月さん。
頼もしい「友達」ができた心強さと、「氷室くんの好きな人」という言葉の重みで、私の胸は甘く苦しく揺れていたのだった――。