クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「蓮に聞け。俺は今、忙しい」

氷室くんは視線すら上げず、冷たく即答した。

「えぇ〜!? 冴くん冷たいよ〜! 結城くんより冴くんに教えてほしいのに……」

「おいおい煌月ちゃん、俺じゃ不満か〜?」

結城くんが苦笑いしながらフォローに入るけれど、煌月さんはキュッと唇をかみしめている。

そんな二人をよそに、氷室くんは私のノートをスッと自分の手元に引き寄せた。

「おい、一ノ瀬。お前ここ、公式が根本的に違ぇぞ。何ボーッとしてんだ」

「えっ……あ、本当だ……ごめんなさい……」

「謝るな。……ほら、貸せ。最初から教え直す」

「あ、あのね、氷室くん! 私なら大丈夫だから、煌月さんに教えてあげて……!」

煌月さんとの約束を思い出して焦った私は、慌ててそう言った。
すると、氷室くんの動きがぴたりと止まった。

ゆっくりと私の方を向いた氷室くんの瞳が、ゾッとするほど冷たく見開かれている。

「……何で俺が、お前以外の奴に教えなきゃならねぇんだよ」

「ひっ……! ぶ、文脈的に煌月さんが困ってて……」

「知るか。俺が教えてぇのはお前だけだ。……黙ってノート見ろ」

いつも以上に低くて強引な声。
隣で結城くんが「うわぁ……出たよ……」と頭を抱え、煌月さんは驚いたように目を見開いて固まっていた。