クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

蓮に鞄を押し付けると、俺は一直線に一ノ瀬のもとへ歩み寄った。

「おい、一ノ瀬」

「え? ひ、氷室くん……?」

「お前、どんだけ欲張ってんだよ。落ちそうだろうが」

「あ、これ? 葵とゆいの分も一緒に買ってきたから……大丈夫だよ!」

ニコッと笑う一ノ瀬。だが俺は構わず、彼女の手から半分以上のパンとジュースをひょいっと取り上げた。

「へ!? 氷室くん、それ葵たちの分で……!」

「分かってる。教室まで運んでやるつってんだよ。ほら、行くぞ」

「ええっ!? 申し訳ないよ、私自分で持てるのに……!」

慌てて俺の後ろをついてくる一ノ瀬。

後ろを振り返ると、廊下の端で蓮が口をぽかーんと開けて固まっていた。

「……マジで? あの冴が女子の荷物持ち……? 嘘だろ……」

自分で自分がよく分からない。
今まで誰の世話も焼いたことがないし、他人がどうなろうと知ったこっちゃなかったはずだ。

それなのに、一ノ瀬が視界に入るたび、目が離せなくなる。

……俺、なんでこんなんになってんだ……?

蓮からのドン引きした視線を背中に浴びながら、俺は一ノ瀬の歩幅に合わせて、ゆっくりと廊下を歩いたのだった――。