クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

あの日の放課後から、校内の空気が一変した。

一ノ瀬にコソコソと向けられていた嫌みっぽい視線や地味な嫌がらせは、嘘みたいにピタリと止まった。

……フン、最初からそうしてりゃいいんだよ

だが、問題はそこからだった。

「おーい冴! 今日も女子からの差し入れ山盛り届いてんぞ〜」

チャラついた声とともに、肩にポンと手を乗せてきたのは友達の蓮だ。
相変わらずノリが軽いが、学園で人気者同士、気兼ねなく話せる数少ないツレでもある。

「いらねぇ。お前が全部食え」

「マジ!? サンキュ〜! 相変わらず塩対応なのにモテモテで羨ましいわー」

笑う蓮を適当にあしらいながら廊下を歩いていると、購買の方から一ノ瀬が戻ってくるのが見えた。

両手いっぱいに抱えられた、パックの牛乳と焼きそばパン。ちょっとバランスを崩せば滑り落ちそうだ。

「あ、一ノ瀬ちゃんじゃん。あんなに買って大丈夫かなー」

隣で蓮が気楽に呟く。
……だが、俺の胸の奥のざわつきは収まらなかった。

……転んで怪我でもしたらどうすんだ

「……おい、蓮。これ持っとけ」

「へ? 鞄? なに急に――って、おい冴!?」