クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

手のひらに残った、いちご味のキャンディ。
私はそれをキュッと握りしめると、小さく微笑みながら自分の教室へと向かった。

(氷室くんって、やっぱりちょっと変で……すごく優しいな)

さっきまでのモヤモヤした気持ちが、彼の一言とこのキャンディのおかげで、嘘みたいに軽くなっていく。

だけど――。

廊下の曲がり角の影から、鋭い視線が私に突き刺さっていることには、まだ気づいていなかった。

「……ちょっと、今の見ちゃった?」

「冴くん、あんなパッとしない女子に飴あげて笑いかけてたんだけど……」

柱の陰で、スクールカースト最上位のファンクラブ女子たちが、怒りで顔を歪ませていた。

「ただの実行委員同士のビジネスライクな関係じゃなかったの!?」

「調子に乗りすぎでしょ……! 冴くんの優しさに付け込んで、あんなに馴れ馴れしく喋りかけてさぁ」

氷室くんの天然な優しさも、彼女たちにとっては「緋奈が冴をそそのかしている」ようにしか映らない。
自分たちが手に入れられない彼の笑顔をあっさり向けられている緋奈への嫉妬が、ドロドロと燃え上がっていく。