クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「ただいま〜!」

玄関のドアを開けると、香ばしい夕飯の匂いと元気な足音が響いてきた。

「おねえちゃん、おかえりー!」

トトトッと走ってきたのは、弟の優希が、満面の笑みで私の腰に抱きついてくる。

「優希、ただいま! 今日もいい子にしてた?」

「うん! おりがみで飛行機つくったんだよ、あとで見せてあげる!」

「本当? 楽しみだなあ」

優希の頭をなでなでしながらリビングに入ると、キッチンからお母さんが顔を出した。

「おかえり緋奈。今日は緋奈の大好きなハンバーグにしたわよ」

「本当!? やったぁ、お母さんありがとう!」

「ふふ、早く着替えておいで。お父さんももうすぐ帰ってくるから」
自分の部屋に戻り、制服から楽な格好に着替える。
そして、学校でずっとかけていた分厚いメガネを外して、髪をゆるく上にまとめた。

メガネを取ると視界はぼやけてしまうけれど、家の中ならこれで十分だ。

(ふぅ……やっぱり家が一番落ち着くなあ)