クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

体育祭が終わって数日。学校はすっかりいつもの日常に戻った……はずだった。

「ねえ緋奈、今日の放課後って委員会あるの?」

昼休み、お弁当のタコさんウインナーを頬張りながら葵が聞いてくる。

「ううん、体育祭終わったからもうないよ。一緒に帰れる!」

「やった〜! 購買の限定スイーツ食べに行こ!」

隣でゆいが「賛成」と微笑む。
気置けない友達との穏やかな時間。だけど、教室のすみっこや廊下を通るたび、ちくちくと肌を刺すような視線はいまだに消えていなかった。

うーん……やっぱり、まだ見られてるなぁ……

視線の主は、氷室くんのファンクラブっぽい他クラスの女子たち。
直接何か言ってくるわけじゃないけれど、すれ違いざまに聞こえるか聞こえないかくらいの声でクスクス笑われたり、あからさまに嫌な顔をされたりする。

「……緋奈、やっぱりあの人たち気にしてる?」

ゆいが察して、心配そうに声を潜めた。

「ううん、大丈夫! 実害があるわけじゃないしね。それに……」

私がチラッと目線を送った先。
教室の窓際では、氷室くんが頬杖をつきながら、ダルそうに友達と話している。

相変わらず圧倒的な存在感と美形っぷりだ。

「氷室くんって本当に目立つからなぁ。隣で一緒に作業してただけで目についちゃうのも、まあ分からなくはないというか……」

「緋奈、仏すぎるでしょ。あいつらが勝手にやきもち焼いてるだけなんだから、堂々としてなよ!」

葵がぷんぷん怒りながらお茶を飲んだ。ふたりの存在が本当に心強い。