クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「……だろうな」

冴くんは呆れたように小さく息を吐いた。

「でも、転ばないで無事にゴールできて本当によかった〜。急に頼まれた時はどうなるかと思ったけど」

「……まあ、ちゃんと走り切ったんだから十分だろ」

用具倉庫の中にパイプ椅子をガタガタと重ねていきながら、私は作業を続ける。

「氷室くんも、重い鉄骨運ぶの大変だったでしょ? お互いお疲れ様だね」

「俺は別に大したことねぇよ」

相変わらずそっけない返事だけど、二人で黙々と作業を進めていく。
変に気を遣い合うこともなく、ただ淡々と残りのパイプ椅子や用具を倉庫の奥へ運び込んでいった。

「ふぅー! これで片付け完了!」

用具倉庫の鍵を閉め、パチンと金属音が鳴る。
夕暮れの風が吹き抜けて、汗をかいた首筋がすっと冷やされた。

「じゃあ、また明日ね! お疲れ様!」

「……おう。気をつけて帰れよ」

私は冴くに軽く手を振り、校門の方へとトコトコ歩き出した。

夕暮れの校庭を抜けて、待ってくれている二人の元へ急ぐ。
後ろで冴くんがどんな顔をして見送っていたのか、私は振り返ることもなく学校を後にしたのだった――。