クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

「私、これくらい持てるよ? 氷室くんこそ、テントの重い鉄骨運んでくれてたでしょ」

「お前がフラフラして転んだら、また仕事が増えるだろ。おとなしく軽い物運んでろ」

「うぐ……相変わらず口が悪いなぁ」

素直じゃない言い回しに思わず苦笑してしまうけれど、彼が私の様子をちゃんと見ていてくれたことが伝わってきて、胸の奥がじんわりと温かくなる。

二人で静かな用具倉庫に向かって並んで歩く。
グラウンドの土をふむ足音だけが、ザッ、ザッと規則正しく重なり合っていた。

「……さっきの走りは、本当にお見事だったよ」

「え?」

ボソッと潰やかれた言葉に、私は思わず立ち止まって冴くんを見つめた。
冴くんは私と目を合わせようとせず、まっすぐ前を向いたまま歩みを進めている。

「一ノ瀬がアンカーに決まった時、周りの奴らバカにしてただろ。……それを一瞬で黙らせた。スカッとしたわ」

「ふふ、そんな風に見えてたんだ? 私はもう、バトンを落とさないことで頭がいっぱいだったよ」