クールな氷の王子は無自覚地味子を独占したい

その時、グラウンドの向こうから「氷室〜! ちょっと重い用のテント運ぶの手伝ってくれ〜!」と運動部の男子生徒の声が響いた。

「すぐ行く」

短く返事をして歩き出そうとする彼に、私は慌てて声をかけた。

「氷室くん! 私も手伝うよ! 荷物持ちくらいならできるし!」

「は? お前みたいなチビに持てるわけ――」

「チビじゃないもん! 皆に大変な思いさせたくないの!」

私の強い眼差しに押されたのか、氷室くんは一瞬目を見開いたあと、フッと小さく口元を緩めた。

「……フッ。じゃあ、軽い段ボールだけ運べ。無理したら怒るからな」

(あ……今、氷室くんが笑った……!?)

滅多に見せない彼の柔らかい笑み。
ドキンと胸が大きく跳ね上がり、私は赤くなる顔を隠すように、「うんっ!」と大きく頷いたのだった――。